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クツを履いたサル [生活]

今日のことです。

 

私は、暑かったのです。

職場はクーラーが入ってません。

6月まで入らないそうです。

温度計は常に29度以上をさしています。

そういったわけで、私は暑かったのです。

 

午後2時。

ついに、「もう限界じゃ~い!」と脱ぎ捨てました。

 

クツを。

 

裸足って、気持ちがいいものですね。

ぺたぺたと踏みしめる、床のつるつる感。

足の汗が空気にふれて蒸発するときのそよそよ感。

 

大変に気持ちがよかったものですから、同僚にも勧めました。

 

「みんなも、クツ、脱いだら?」

 

でも、誰も脱ぎません。

 

ものすごく、暑いのに。

脱げばいいのに。

脱げばこんなに気持ちがいいのに。

 

でも、無理強いはいけないことです。

 

自分ばかり涼しい思いをして、申し訳ない。

なんだか、みんな、ごめんね。

私ばっかり、涼しくて。

 

そのように心の中で謝ったり、実際に声に出して謝ったりしながら、

裸足でぺたぺた仕事をしていました。

 

あれは裸足になってから、1時間ほどたった頃でしょうか。

同僚のひとりが、突然笑い始めたのです。

暑かったのです。

29度です。

朝から、暑さを我慢しているのです。

笑いがとまらない同僚を見ながら、はらわたが煮えくり返るのを感じました。

暑さで煮えくり返ったのではありません、これは慣用句です。

私は怒ったのです。

暑すぎるのだ!、と。

ここがこんなにも暑いから、ついに一名が発狂してしまった!、

兆、暑すぎるのだ!、と。

私は握り締めたこぶしを高く挙げんと、裸足で立ち上がりました。

 

かわいそうに、同僚はまだ、笑いがとまりません。

「これから雇用主のところへ抗議に行ってくるよ。もうすぐ、涼しくなるからね。

 あと、少しの辛抱だからね」、

そう言おうとした私に、彼女は言いました。

 

「ひゃ~ははははは~!

 ミ、ミッソの裸足、お、おかしすぎ…。

 ひ、ひとりだけ野人が混ざってるみたい…。ひゃはははは~!」

 

やじん?

 

思わず、自分の足元を確認しました。

 

ええ、野人でしたね、あれは。

 

裸足は職場向きではありません。

異様な感じになりますので、やめたほうがよろしいです。

 

(おしまい)


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