百薬の長のこと [黒ミッソ]
ミッソ「ご隠居~、遊びにきただよ~!」
ご隠居「おや?ミッソかい?どうしたんだい?」
ミッソ「ご隠居にお酒もらいにきただ。
ご隠居は退院後禁酒してるで、ここにはいっぱいお酒が余ってるだ。」
ご隠居「退院?禁酒?おいおいミッソ、それはご隠居違いだよ。
お前が言うのは横町のバンマスご隠居のことだろう、
あたしは禁酒はしてないよ、今も一杯やってたとこだよ。」
ミッソ「間、間違えた・・・。でも、どのご隠居でもいいだよ、
ご隠居が飲んでるそれをおでにも一口ちょうだい。」
ご隠居「しょうがないねえ・・・。
お~い、ばあさん、ミッソに一杯だしてやっておくれ。
え?いいんだよ、あたしと同じ酒じゃなくて、安いので。」
ミッソ「・・・おでもご隠居とおなじやつがいいだ。」
ご隠居「だめだめ、これは頂き物の高価なお酒だよ、
お前のように味のわからない者にはもったいない。」
ミッソ「ちょっとだけでいいだよ、おでも飲んでみたいだよ~。
お願いご隠居ちょっとだけ!」
ご隠居「だめだめ!」
ミッソ「お願い、ちょっと飲ませて、ご隠居!ご隠居、飲ませて!」
ご隠居「だめだめ!!」
ミッソ「うううう、これだけ頼んでもだめならば、仕方がないだ・・・
お~い、黒ミッソ~!」
ご隠居「こらこら待ちなさい、やだねぇ、あいつが一緒なのかい?
ああホントだ、戸の隙間から黒ミッソの尻尾がゆらゆら見えてるよ。
黒ミッソに来られたらたまらないよ、
仕方ないね~、一口だけだよ。さあ、お飲み。」
ミッソ「へへへ~♪いただきま~す。んんんんまい♪
ご隠居、これはおいしいお酒だね。
いいのをおでに飲ませてくでてありがとう。」
ご隠居「ありがとう、って杯を出したって、もうやらないよ。
もう一口飲んだだろ、黒ミッソつれて家におかえり。」
ミッソ「え~、もう一杯だけちょうだい、ご隠居!ご隠居、ちょうだい!」
ご隠居「だめだめ!」
ミッソ「うううう、これだけ頼んでもだめならば、仕方がないだ・・・
お~い、黒ミッソ~!」
ご隠居「あ~、こらこら、あいつを呼ぶのはやめなさい。
全く仕方がないねぇ、もう一杯だけだよ。」
ミッソ「お酒はカラダがあったまるでいいねぇ、屁散人さんも言っていただ。
ご隠居、お酒は冬の季語?」
ご隠居「冬の季語ではないがね、確かに酒はカラダをあたためる。
ほどよく飲めば百薬の長ともいう、ただし、飲みすぎは毒だな。」
ミッソ「お酒はしゃくやくのしょうだだね~・・・しゃくやくのしょう?
脇役の翔?哀川翔(にやり)」
ご隠居「哀川翔(にやり)ってなんだい、
お前はさっぱりわかっていないじゃないか。
百薬の長とは世にあるたくさん薬のなかで最良の薬、ということだ。
それほどまでに酒は体にいいという酒へのほめ言葉だ。」
ミッソ「お酒がお薬とはしらなかっただよ~。
おではやけに丈夫だと思ったら、お酒のおかげだっただね。
ご隠居も毎日お酒を飲んでるからそんなに長生きだだ。
ご隠居はもう、飲まないほうがいいだ。」
ご隠居「あたしは飲むなって、そろそろ、死ねってことかい?
そういうことを言うともう飲ませないよ。」
ミッソ「あ、ご、ご隠居はいっぱい飲んだらいいだ、今100歳だけど、
200歳まで長生きして欲しいだ!」
ご隠居「お前、あたしを100歳だと思っていたのかい・・・。
まあいい、200歳まで長生きしてやろうかね、
さあ、うれしいことを言ってくれたので、もう一杯飲みなさい。」
ミッソ「ご隠居は300歳まで長生きするだ!
おでにもう一杯くれたら400歳、もう2杯くれたら500歳だだ!」
ご隠居「そんなに長生きはできないがね、まあいい、もう一杯飲みなさい。」
ミッソ「もう10杯くれたらご隠居は死なないだよ・・・」
ご隠居「死ななくなったらそれはまた困るねぇ、おや?
・・・ミッソ寝てしまったよ・・・起きなさい、ミッソ、ミッソ。」
黒ミッソ「おいおいおい!!じじい!!
あほミッソにどんだけ飲ませた?」
ご隠居「あ、ああ、黒ミッソ、どうやら飲ませすぎてしまったようだ。
お前、ミッソを起こしておくれ、車を呼ぶからつれて帰っておくれ。」
黒ミッソ「車だあ?そんなモンいらねぇよ。
(ミッソをひょいと肩にかつぎ)じゃあな、じじい。
飲みすぎ飲ませすぎに気をつけろよ、
今度やったら黒ミッソキックをおみまいするぜ!」
黒ミッソ、酔いつぶれたミッソを担ぎ去っていく。
★年末年始、皆さんも飲みすぎ飲ませすぎにご注意ください。