働かないアリさんのこと [はっちゃん]
はっちゃん「ミッソ、いる~?」
ミッソ「あいあい。はっちゃん、いらっしゃい♪」
はっちゃん「あんた、いつまでパジャマ着てるの?もう昼よ。」
ミッソ「これはパジャマじゃないだ、コレ着ておではどこまでも行く。」
はっちゃん「それ着て外にでるのは如何なものかと思うわよ。
ジャージとTシャツ、しかも両方ぶかぶかじゃない。」
ミッソ「今流行してるだ。」
はっちゃん「どこで?」
ミッソ「ここで。」
はっちゃん「そんなことは、どうでもいいの。ちょっと、聞いてよー!」
ミッソ「おではさっきからずっと聞いている。
いつまでもパジャマでもう昼で外がぶかぶかって…」
はっちゃん「それはもういいわ。
問題は、うちのパパ。また仕事やめちゃったのよ。」
ミッソ「はっちゃんのお父さんは70過ぎてるで、とっくに定年だ。」
はっちゃん「違~う、パパってのはうちの旦那のことよ。」
ミッソ「あ~、おたくのアホ亭主。」
はっちゃん「アホ亭主ってなにさ、
あんたにアホ呼ばわりされるとなんかむかつくわ。
ま、アホ亭主なんだけどね・・・。
こないだ転職してやっと落ち着いたと思ったら、また辞めてたのよ。
しかも、辞めたのは一月も前だって言うの。
その間、『いってきまーす』なんつって毎朝でかけてさ、私を騙してたの、許せない~!」
ミッソ「アホ亭主はアホだで、自分が会社を辞めたことを忘れたか?」
はっちゃん「違うわよ!気が小さいから、自分が会社辞めたって
言い出せなかったらしいのよ。
で、毎日会社に言ったフリして夕方までふらふらしてたんですって。」
ミッソ「えええっ!夕方までふらふら!!」
はっちゃん「あんた、間違ったポイントでびっくりしてるわね。
わかったけど、つっこんでる場合じゃないのよ、アタシは!
パパが無収入になったら、ホント困るの!
うちには食べ盛りの子供が3人もいるんだから。」
ミッソ「はっちゃんちの子供はホントによく食べるだわ。
こないだおでが持ってったお菓子、48秒で食べ終わったで。
そのうち共食い始めるんじゃないかと、おでは恐かった。」
はっちゃん「共食いするか、アホ!
とにかく、パパには早く次の仕事を見つけてもらわないと困るわけよ。」
ミッソ「そでは、困る。」
はっちゃん「でも一番の問題はどんな仕事も続かないってことなのよ。」
ミッソ「どきっ。(←ミッソこころの声)」
はっちゃん「そもそも仕事する気がないんじゃないかと思うのよね。」
ミッソ「…。」
はっちゃん「仕事ができるタイプじゃないしね、アホだから。」
ミッソ「……。」
はっちゃん「もう、マグロ漁船にでも乗せちゃおうかしら。」
ミッソ「マグロ漁船は嫌だ!」
はっちゃん「あんたじゃないわよ。
それか、スパルタ寺で修行させて弱った精神たたきなおすか。」
ミッソ「スパルタ寺もやめて!」
はっちゃん「あんたじゃないって言ってるでしょ。
でもねー、パパがダメならアタシが働くしかないかなって思ってるの。
助けあってこそ夫婦だもんね。」
ミッソ「そうだ!はっちゃんが働けばいいだ。
だーすけあっそこふーふーだだ。」
はっちゃん「あんた、わかってないでしょ。助けあってこそ夫婦って言ったのよ。
ところで、あんた、まだパジャマ着てるけど、仕事は?」
ミッソ「うっ…。」
はっちゃん「まさか、また辞めたとか…。」
ミッソ「時に、はっちゃんや、アリさんの話をごぞんじか?」
はっちゃん「なんで、ご隠居口調なわけ?。
アリさんの話?なあに、それ。」
ミッソ「働きアリさんは働きアリさんだけに、みんな働いていると思ったら、
大間違いだだ。働きアリさんの1割は働かない。
でもって、その働かない1割を抜いて、働くアリさんだけにすると、
また1割が働かない。
働かないアリさんがいるのにはちゃんと意味があるだ。
さあ、お前さんにこの話の意味がわかるかな?」
はっちゃん「わかるわよ、超わかるわよ。
だから自分は働かなくてもいいっていうんでしょ?」
ミッソ「……。」
はっちゃん「やれやれだわ。
すいませーん!黒ミッソさーん、あとよろしくー!」
ミッソ「えー、はっちゃん、もう帰っちゃうだ?」
はっちゃん「あんたと違って暇じゃないのよ、ハローワークに行かなくちゃ。
じゃ、またね。」
ミッソ「暇じゃないと偉いのかー!はっちゃんのばかー!!!」
黒ミッソキックバキッ!
ミッソ、気絶。
ついでに夕方まで爆睡。
おあとがよろしくないようで。
(おしまい)