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かわいくないはなし [思い出話]

以前、住んでたボロアパートで蛾が大量発生したはなしを書きましたが、

もひとつ事件を思い出したので書きます。

蛾のはなしと同一カテゴリのはなしなので、

その手のはなしが苦手なヒトは

 

読まないほうがいいですよ♪

 

そういったわけで、「続きを読む」機能を初めて使ってみます。

 

 

学生時代に住んでいたボロアパート、

ボロではありましたがいっちょまえに風呂がついていました。

ユニットバスではなく、水をためてぼーぼー沸かす古いタイプのガス式。

天井はカビキラーでも落ちない、年季の入ったカビだらけ。

 

でもカビはそれほど気になりませんでした。

 

一番気になったのは浴槽と床の間の隙間です。

ホーロー製の浴槽は床の上においてあるだけといった状態で、

床との間には10センチほどの隙間が開いていました。

手が入らないその隙間のなかは掃除もできず、

中がどういう状態になっているのか考えるとぞぞっとしましたが、

 

考えないようにしていました。

 

それでもマメに掃除をし、かわいいバスグッズを置いたりして、

わたしはボロ風呂を大事につかっていたのでございます。

 

ある日のこと、さあお風呂に入りましょ、とすると

石鹸がない。

流れてしまったのかと例の隙間を覗いてみましたが、

暗くてよく見えない。

仕方がないので、新品の石鹸をおろしました。

 

翌日、風呂に入ろうとすると、

また石鹸がない。

昨夜風呂を上がったときには、石鹸置きの上にあったのに。

買い置きの石鹸がなかったため、その日は石鹸を使わずに我慢しました。

 

翌々日、安売りの6個いり石鹸を買って、風呂に入り、

今度は流れてしまわないように、例の隙間から遠く離れたところに

石鹸をおいて風呂を出ました。

 

真夜中のことです。

がさがさがさと物音がします。

ぴちょんぴちょんと水の音も聞こえます。

風呂場のほうから聞こえます。

わたしは布団をでて風呂場へ向かいました。

風呂場の明かりをつけて、気が付きました。

 

石鹸がありません。 

 

恐い、

 

田舎に帰りたい、

 

とまたしても思いましたが、こんな真夜中に「特急あさま」は走っていません。

とにかく原因究明しなくては、と新しい石鹸を設置し、

その日は寝ることにしました。

 

翌朝、風呂を確認すると、

 

やはり石鹸がなくなっていました。

 

マジ、こえぇ。

 

わたしは友達のひろ子ちゃん(本名)に電話し、

今晩泊めてくれとお願いしました。

ひろ子ちゃんは自宅で家族と住んでいます。

物知りそうなお母さんに相談すれば何か知っているかもしれません。

夕飯をご馳走になりながら、石鹸の話をしてみましたが、

お母さんは知りませんでした。

でも、お父さんが知っていました。

 

「それはドブネズミの仕業だよ。」

 

わたしは思いました。

もう、いやだ、あんなアパートに帰りたくない。

 

すっかり落ち込んだわたしに、ひろ子ちゃんが言いました。

 

「ミッキーマウスだと思えばいいじゃん。」

 

わははと笑う、ひろ子ちゃん一家。

 

他人事です。

 

わたしは笑ってる場合じゃありません。

明日、ドブネズミが待つアパートに帰らなくてはいけないのです。

あぁ、このままこの家の子になって皆と一緒に笑いたい、と思いましたが、

それが無理なのはパニック中の脳でもわかります。

 

翌日、「がんばってね~♪」と笑顔で送ってくれたひろ子ちゃんと別れ、

わたしは勇気を振り絞ってアパートへ帰りました。

 

ああ、もういやだこんな、ボロい風呂。

あの怪しい隙間からドブネズミは出てきて、石鹸を盗むのでしょう。

どうしたらいいのよ…。

 

そして、ぴかぴかーん☆と思いついたアイディアは、

実に簡単なものでした。

 

石鹸を床においているからドブネズミに盗られてしまうのです。

風呂をでるときに、風呂の蓋の上におけば、

ドブネズミの手では届かない。

たぶんジャンプしても無理でしょう。

ドブネズミが身長100センチ以上ない限りは。←こわい。

 

石鹸を風呂蓋の上におくようにしてからは、

もうドブネズミに盗まれることはありませんでした。

 

時々、風呂から奇妙な物音が聞こえることがありましたが、

慣れました。

 

また、ミッキーマウスか。

 

ってなもんです。

 

風呂に入るときは、ドアをどんどんとたたいて、

ミッキーマウスに知らせました。

ミッキーとご対面だけはしたくなかったからです。

 

でも結局、その部屋に住んでいた5年間で

ミッキーマウスの姿を見ることはありませんでした。

ドブネズミってとっても臆病なんだそうです。

 

わたしがお風呂に入ってる間はきっとびくびくしてたんでしょうね。 


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